『非才!』(マシュー・サイド著)が面白かった



 図書館にいったら『非才!―あなたの子どもを勝者にする成功の科学』(マシュー・サイド著)という本が新入荷のコーナーに置いてあって(翻訳者が山形浩生だったので)借りてきたのだが、これがたいそう面白かった。

 副題は「あなたの子どもを勝者にする成功の科学」となっているし、アマゾンの取り扱いジャンルでも「子育て」に分類されているけれども、子育てはあんまり関係ない(もちろん関係させることはできるけど)。本書のテーマは「才能とは何か」。

 本書の主張は明快で、何かにおいて成功するためには努力(練習)のみが結果をうむんだ、才能なんてものは(殆どの場合)関係ない、というもの。

 タイガー・ウッズなどの一流スポーツ選手の反射神経、持久力、瞬発力、集中力、正確さは才能でもなんでもなく、途方もない練習量によって得られたものであるという。ほかにもゴルフ、卓球、テニスなどの例が上げれ、いずれも一流になるには途方もない努力が必要とされ、生得的な才能は否定されている(バスケや相撲など一部のスポーツは例外とされている)。

 努力がすべてであるというのはスポーツに限らず、モーツァルト、ピカソのような芸術も、ラマヌジャンのような数学の能力もみな練習、努力によるものであるとする。すべて偉大な結果をあげている人は人並みならぬ努力をしているし、それなくして成功している人などひとりもいない。

 才能はかなりはっきり否定される。才能プラス努力、ではないく才能なんて関係ないし、むしろ成功の要因を「才能」に帰納してしまうことは、心理学的な研究結果を参照したうえで害悪であるとする。

 面白いのは著者自身がオリンピックにまで出場した卓球選手であるということ。多くの新しい研究結果も参照しつつ、一流スポーツ選手でなければ得られないような経験をふまえながら、いかに努力がものをいうのかを説明していく。

 これがだいたい前半部分。

 後半部分は、スポーツにおける心理的な面についてや、宗教がもたらす効果、プラシーボ効果についてや、旧東ドイツのドーピングについてのオモシロ小話が続いたあと、最後は、人種とスポーツについての話になり、再び才能と努力の話にもどってくる。ここでも遺伝的な要素というのは否定される。

 最後の人種とスポーツの関係において参照されているのが『黒人アスリートはなぜ強いのか?―その身体の秘密と苦闘の歴史に迫る』という本。この本は以前読んだことがあって、驚きつつも納得したのだけれども、本書では否定されている。

 どちらが正しいのか、というと正直本書の内容はある程度納得はできるものの十分な説得力があるとは思えなかった。が、いずれにしてもたいそう面白かったので、おすすめです。

非才!―あなたの子どもを勝者にする成功の科学
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